副業市場における課題と各プレーヤーのKPI・戦略について調べてみた

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こんにちは、ディップ株式会社の安元一耀です。

前回のブログの投稿日が6月3日なので、約1ヶ月ぶりの投稿です。

直感採用に頼らず企業の採用力を上げる方法記事のアイキャッチ

今日からできる!直感採用に頼らず採用力を上げる方法5ステップ

2019年6月3日

現在、僕が所属するディップの次世代事業準備室という部署では現在、副業市場で新規事業を開発中です。

そこで今回は、事業開発をする中で行ったリサーチや副業市場の現状について、このブログで軽くまとめておこうと思います。

事業の構造・課題やKPIなどについても触れているので、新規事業に興味ある学生などは読んでみると参考になるかもしれません。

「陰キャラが陽キャラを倒すイメージで新規事業を考えるのが楽しい」新卒2年目の新規事業ディレクター

2019年6月28日
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前提として・・・副業市場の難しいと思うところ

まず、副業をする人自体は増加傾向にあります。

副業人口の推移

(参照:https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/

これだけ見ると副業市場って魅力的な市場に見えるかもですが、事業をやる側としてはユーザー(副業する人)サイドにやや難点があります。

パーソルが「企業として「副業人材」をどのように有効活用できるのか」というレポートを出しているのですが、その中でこんなことが書いてあります。

副業市場規模(個人)

年収が低い人ほど副業しようとして、年収が高い人ほど副業しようとしない」という構造です。
また、以下のページを見てみると・・・

副業を得るための手段

副業の仕事を人脈経由で受注している」のが一番多いというのが現状です。

まぁここら辺は僕の周りにいる人を見てもなんとなく当たっている気はします。

なので、副業人口自体は増加していて魅力的な市場に見えるけど、その人たちがWEBにどれくらいいるのか?ということは要注意なポイントです。

副業市場の歴史①:クラウドソーシング

とまぁ、以上の前提がありまして、ここからは副業サービスってどんなものがあるのかを見ていきます。

副業サービスで有名なのはやはり「クラウドワークス」とか「ランサーズ」のようなクラウドソーシングサービスかと思います(主に仲介手数料型のビジネスモデルです)。

事業KPI

まずはクラウドソーシングの事業KPIについて。「クラウドワークス」の決算資料ではKPIが公開されているので、それを見ていきます(以下の資料で「シェアリングエコノミー事業」の部分)

クラウドワークス決算資料その1

「総契約額(全ユーザーが行った仕事の単価の合計)×テイクレート(クラウドワークスが貰う仲介手数料の割合)」で「売上総利益」が算出できると記載されています。

以下の資料も見てみると・・・

クラウドワークス決算資料その2

「総契約額」は「UU」と「ARPU」に因数分解できることがわかります。

以上から、クラウドソーシングの事業KPIは「UU」「ARPU」「テイクレート」であることがわかります

事業課題

上記の資料を見てみると、2018年4月〜2019年3月の1年間におけるARPUが4.8万円(≒1人のユーザーが年間で稼ぐ平均額=4.8万円)とあります。

月間ARPUだと、4.8万円 / 12ヶ月=4,000円です。。。

冒頭でも書きましたが、「年収が低い人ほど副業しようとして、年収が高い人ほど副業しようとしない」という構造なので、クラウドワークスの場合は「低単価のマッチングモデル」になってしまっているのが事業課題かなぁと個人的には思います(現に、月間ARPU=4,000円ですし)。

※マッチングモデルの場合、ユーザー / クライアント集客のコストだけでなく、マッチングにかかるコストも発生します。

なので、低単価でやろうとするとなかなか利益出すのが辛くなります。

そのためにはユーザーのリピートをめちゃ増やしてLTVを超伸ばすとか、クラウドワークスもすでにやっている仕事案件の検索上位表示など他のマネタイズポイントが必要になります。

副業市場の歴史その②:副業エージェント

以上の課題に気づいたからなのかは分かりませんが、次に登場したのが副業エージェントサービスです。

副業エージェントのイメージ

要は、「副業したい人を企業に紹介して、人材紹介料を貰う」という事業内容です。

プロの副業」とか「シューマツワーカー」「クラウドテック」などがこれに相当します。

ビジネスモデル

副業エージェントサービスのマネタイズポイントは以下の2つです。

①:クライアントへの副業人材の紹介料(ショットで入る)
②:副業人材が月に稼いだ金額のうち、手数料〇〇%を貰う(副業人材が稼働する限り、毎月入る)

事業KPI

以上のビジネスモデルを踏まえると、

①を上げるには「紹介単価の高い副業人材を多く紹介する」「ユーザー数を増やす」などをすればよく、

②を上げるには「LTVを上げる(長く稼働してもらう)」などをすればよいことがわかります。

「プロの副業」の戦略

「プロの副業」のホームページを見てみると、こんなことが書いてあります。

プロの副業ホームページ

年収800万円を超えるレベルのユーザーを多く獲得していることを強みに押し出しています。

なので、上記で記述したビジネスモデルの構造からすれば、

①:ショットで入ってくる紹介単価はそこそこ高単価
②:毎月入ってくる手数料はそこそこ高い

が実現できますが、冒頭でも述べた通り年収800万円レベルのハイスペックユーザーの獲得に関しては、割とすぐに頭打ちにはなるのでは?と思っています。

しかし、「プロの副業」を運営している会社は副業人材だけではなく、社員の人材紹介事業「シンアド転職」も運営しています。

シンアド転職のホームページ

つまり、「副業の人材紹介をやった後に、その副業人材が社員になれば社員としての紹介料も獲得できる」という戦略を取っていることが分かります。

「シューマツワーカー」の戦略

「シューマツワーカー」に関しては、「プロの副業」みたいに「年収800万円以上」などの記述はありませんでした。

シューマツワーカーのホームページ

なので、「プロの副業」とは違って高単価人材ではない分、ユーザー数で勝負するモデルだと思われます(「プロの副業」との差別化ができている)

調べたところ、シューマツワーカーでは「プロの副業」みたいに社員の人材紹介はやっていないのですが、おそらく今後はそれもやり始めるだろうなと個人的には予測しております。

最後に・・・ディップがどう副業市場に参入するか?

最後に、ディップがどう副業市場に後発参入するか?について軽く書いて終わりにします。

後発参入のイメージ

サービスベンチマークとしては、上記に書いた「プロの副業」や「シューマツワーカー」「クラウドテック」あたりになるかなと思ってます。

後発参入するときは、だいたい競合(サービスベンチマーク)の「通説」や「強み・弱み」を潰しにかかって価格破壊で参入するというのが割とやりやすいと思っておりまして、、、

個人的には「プロの副業」や「シューマツワーカー」における以下の通説と弱みを狙っていければなと思っています。

①:通説=コンシェルジェやCA(キャリアアドバイザー)を雇っている
②:事業課題=副業顕在層への訴求(ユーザー数の頭打ち問題)

①に関してですが、各社とも副業人材をサポートするためのコンシェルジェやCAを雇っています。

紹介事業なので当然と言えば当然なのかもしれません。でも、コンシェルジェやCAを雇うと当然 人件費がかかります。

なので、弊社ではコンシェルジェやCAを(ほぼ)雇わない事業をできたらなと思っています。

②に関しては、現状各社とも「副業をしたい」とすでに考えている顕在層へのサービス訴求です。

しかし、それだと冒頭でも述べた通り、ユーザー獲得に関しては割と頭打ちになるのではないか?と個人的には予測しています(爆発的なスケールを狙わないのであれば話は別ですが)

なので、顕在層だけではなく潜在層に対してもアプローチをかけていかないと、副業市場において爆発的なスケールはできないのではないか?と思っているので、弊社としてはそこも検討しています。

という訳で今回はこれで終了です。ありがとうございました!

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2019年6月3日

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